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スティングレイ クレイト

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スティングレイ クレイトの最終レポです。
レポの最後にブレーキについて構造を解説しておきます。




どうも鉄板部分のメッキの弱さは持病の様で、この機種も前後フェンダーだけは点錆が母材に達しています。
しかしフェンダーステイの形状に驚きます。まるでブリキ製塵取りの取っ手の様です。
これからの季節、神社の境内などで落ち葉掃きをしている際に使われるものと比較してしまいそうです。(笑)




前輪はオリジナルの様で、「SCHWINN SUPERIOR」の文字が見えます。
リムはスチール製ですが、WOではなくHEを採用しています。
サイズは16×1.75。




後輪は社外品のオーバーサイズで、ディンプルスリックが入っています。
メーカーはKENDAでサイズは20×3.0。
オリジナルは完全スリックで、サイズは2.125×20です。




オリジナルパーツが殆ど残っていないリアビュー。
シートは社外品で、リフレクターも欠品しています。
入手した個体のシートはグレイのラメですが、オリジナルはブラックにホワイトのストライプ入りです。
また、本来ならば直径8aの大型リフレクターがシート直下に取り付けられている筈です。




フロントブレーキは片持ちながらリーディングトレーリングのドラム式。
仕上げも効きも問題ないのですが、今後アーチャー製シューの入手が心配です。




リアブレーキはコースター式。
クルーザーには効きも充分で、何よりワイヤーが無い分リア廻りがスッキリしています。




最後にリアブレーキについて補足しておきます。
コースターハブは現在話題になっている直結型のビストと見分けが着きにくく、一見すると取り締まり対象になりそうですが、JISで認められたれっきとしたハブであり、ブレーキでもあります。
自転車を含む軽車両は規定の大半が公安委員会によって定められていますが、灯火と制動装置だけは道路交通法によって定められています。
灯火については「夜間の路上にあっては…」と特定されますので、日中に乗る分には無灯火や未装備についても問題はありませんが、制動装置については公道である限り昼夜を問わず例外は認められていません。
その制動装置については、「時速10q/hで操作を開始した際、3b以内で安定して停止出来る能力を有する事」とあり、「前後輪を制動する事」の二つの条件を備えていなければなりません。
ビストで問題になるのは装備品の項目で「制動装置を備えなければならない」と装備が義務づけられている事で、直結型のビストはあくまでも駆動方式であり、制動に対しては方法になる事です。
方法は装置とは別物であり、いくら脚力に自信があっても絶対に装置になる事はあり得ません。これがビスト=道交法違反に成り得る根拠です。




これはコースターブレーキのカットモデルです。赤く着色されている部分はハブの断面です。左半分に見える金色のパーツがブレーキシューで、通常は筒を2つ以上に割った状態でハブに組み入れられています。その右に見えるのがクラッチです。
スプロケットのシャフトは正ネジのウォームギアになっており、クラッチにねじ込まれる形で連結されています。
前進方向にペダルを踏むと、チェーンを介してスプロケットが右から見て時計方向に回り、シャフトのウォームギアによってクラッチを右に引き寄せます。引き寄せられたクラッチは狭くなったハブの内壁に押し当てられ、駆動力が伝わります。
漕ぐのを止めて滑走状態にはいると、止まっているスプロケットをハブの回転が追い越す為、ウォームギアが解けてクラッチは写真の位置に戻ります。この状態だとクラッチは何処にも抵触せず、ハブはフリーになります。
制動の為にペダル後方に力を加えると、スプロケットは反時計回りとなり、クラッチを左に追いやります。クラッチはブレーキシューを押し広げ、シューはハブの内壁に押し当てられてブレーキとして作用します。




この様にコースターハブは駆動と制動の両方を兼ねた装置である事がお解り頂けるかと思いますが、見た目だけでビストと区別するにはアンカーアームの有無で判ります。ベアリングやハブを支えるベースは制動に対する反力をフレームと連結する事で抑えなければならないからです。
また、自転車自体を押してみると判ります。ビストは直結の為、前後どちらに押してもクランクは回りますが、コースターはクラッチによってハブとの抵触が絶たれている為、前後どちらに押してもクランクは回りません。
コースターブレーキは脚で操作する為、力のない子供にはレバーを握るよりも制動力が高いと言われます。
その一方で、レバーに慣れた人には脚での操作には慣れが必要で、微妙な調整が出来ずにロックしてしまう事もあります。
また、ペダルを逆回転させるとブレーキとして機能する為、逆回転が出来ません。その為、発進時には制動に使用した脚とは反対の脚で踏み込まなければならない事になります。(例えば右足でブレーキ掛けした場合、右のペダルが後ろになっている為、発進時には必然的に左ペダルを踏み込まざるを得ない)
そしてもうひとつ、構造上定期的なメンテナンスが必要です。グリースアップは当然ですが、ブレーキの熱に耐えられる様にモリブデングリースが大量に封入されています。当然熱による劣化もあり得ますが、やはりベアリング部分から少しずつ流出する事は避けられない様です。
グリース切れはベアリングやクラッチの異常摩耗、そしてブレーキの焼き付きも引き起こします。



《[戻る]| [続く]》



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解説/ BOW



2014.11/05


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