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ジャガー折り畳み自転車

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 ではジャガー折り畳み自転車の細部を看てみましょう。




折り畳みの方式は左側がヒンジで右側がロックになった一般的な横折り式です。
ロックピンはスプリングでテンションが掛けられており、クイックレバーのシャフトが抜け止めを兼ねています。
折り畳んだ状態からフレームを伸すと、ロックピンが受けの穴に入ってロックされます。その後クイックを前方に持って行く事でロックピンは下方に移動できなくなり、更にクイックレバーを倒す事でガタも無くなります。
一見すると良くできている様にも見えますが、構造的には上方しかロックされておらす、撓みを支えているのは事実上左側のヒンジのみと言うことになります。
それだけでもオフロード走行には無理があるとしか考えられませんが、それ以上に不安なのは溶接そのものです。安物家電にみられるイモハンダの様な溶接痕を見ると、舗装路を走っていても突然フレームがポッキリ逝きそうです。




ハンドルの折り畳み部分です。
ステアリング管を含め、ハンドル周りはスチール製になっています。
基本構造はフレームと同様ですが、此方は受け側が単なる穴ではなくスリット入りになっており、ロックピンは頭の基部が細く削られた釘の形状になっています。
ロックピンを押しながらハンドルポストを起こすとピンの細くなった部分がスリットを通り、ピンから手を離すとスプリングによってピンが押し出され、太い部分が穴に入ってロックされます。
クイックレバーの役割はフレームと同様ですが、わざわざ押しながら操作する必要性が不明なのに加え、片側(右側)のみでロックされている事に変りははありません。
一応ヒンジが後方に来ているので、ロックが外れてもハンドルが突然前方に倒れてしまう事は無さそうですが、ヘラ押さえの行程を省略したシリコン処理の様な溶接部に不安を感じざるを得ません。




リアブレーキはリニアプル式になっていますが、ルック車の見本とも言えるメーカー不明の代物。
勿論剛性感はシマノの最廉価版Vブレーキにも劣ります。
それよりもシートステイの剛性が極度に不足しており、シューがリムに触れた時点から大きく撓みます。
これは金属疲労の点で不利なアルミにとって致命的であり、ブースターの取り付けが最重点課題です。
余談ですが、ヌードルが何故か130°タイプになっていた為、画像の状態では既に手持ちの90°タイプに交換してあります。



ペダルはVPの樹脂製。
折り畳み式は基本的にペダルの先端に力を掛けられないので気にはなりませんが、問題はロック方式です。
団扇ネジを90°回転させる手動式ですから、使用時格納時を問わずツマミを回さなければなりません。
更に格納時には全くテンションが掛かっていませんので、車載時にペダルが勝手に出てくる事もあり、結構イライラします。



フロントフォークです。外観はルック車そのものですね。
ダンパーは勿論ですが、サグ調整すら出来ない無名の代物です。
実は入手時には全くストロークしなかった為にオーバーホールしようとした処、何と非分解式。
スプリングはインナーではなくアウターレッグの底に入っている形式ですが、ダストシールがリバウンドバンパーを兼ねており、それ毎リベットによって留めてある様です。
更に凄いのは、クラウン(三つ又)とは圧入接着ではなく、ボルト2本で締め付けてあるだけという点です。
これはステアリングパイプとの接合も同様で、文字通り「サスペンション装備」とカタログに謳う為だけと言えます。
(逆にオートバイの様にトップブリッジが装備されている場合はこの方式でないと整備が出来ません) 
結局トップキャップを外し、MTオイルを流し込んでは強制的にストロークさせる作業を一週間以上繰り返して何とか動くようにはなりましたが、樹脂パーツの熔解を考えるとお奨め出来る方法ではありません。


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解説/ BOW



2014.12/17


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