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チョッパー自転車2号機

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リア廻りには気づいただけでも4つの問題を抱えていました。
解説が長くなりますので、興味のない方、別に現状で不満の無い方は画像の方のみご覧下さい。

1つ目はハブからの異音です。これは持ち帰った翌日に50b程試乗して気づいたのですが、小枝か何かを巻き込んでスポークに当たっている様な音で、漕いでいる時にも滑走時にも発生します。
ハブを分解してみると一般的なカップアンドコーンになっていますが、グリースはどう見ても潤滑用ではなく防水用。それも量が十分ではなく、組み立て時にバラのベアリングが落ちない為だけに塗布されたとしか思えない程少量です。
パーツクリーナーで洗浄後、シマノのデュラエース(蛍光グリーンのものです)をシャフトまでタップリ塗って再組み立てする事で一応異音は出なくなりました。
組み立て時に気づいたのですが、ハブや玉押しはお世辞にも良いとは言えない精度であり、大きめなツールマークが目立ちます。いかにも支那製の本領発揮と言える仕上げで、定期的なオーバーホールとグリースアップを怠ると異音に留まらずガタが出る様になってしまいそうです。

2つ目はブレーキのレバー比です。
折角シマノのVブレーキを買ったのですが、結果として交換出来ず終いでした。
リア用アームは問題なく取り付けでき、シューも問題なくリムに当たります。ところがインナーを繋ぐとそれがトレッド部に抵触してしまい、車輪が回転できなくなります。原因はアーム長が規格(別名リーチとも言い、規格は107oです)よりも長い物が使用されている為です。
「タイヤサイズが大きいんだから当たり前だろ」と言われそうですが、問題なのはカンチボルトとシュー取り付け部が規格と同寸であるにもかかわらず、ワイヤー取り付け部だけが延長されている事です。つまり、テコの原理でその役割を果たしているブレーキアームの支点-作用点間は変わらず、 力点のみが遠くなっていると謂うことは、作用点を同じ距離移動させる為には力点は大きく移動しなければなりません。これは私のような薄学でも容易に理解できる事です。
解決策としてはブレーキレバーをレバー比の大きな物にするか、カンチスタッドを車軸に寄せて支点位置もシューから遠ざけるしかありません。(油圧式にするかハブブレーキにするかは別としてですが…)
しかしワイヤー駆動の機械式ブレーキレバーではVブレーキ用が一番大きく、そのレバー比は1:4であり、それ以上の物は私の知る限りでは規格として存在しません。
もうひとつのカンチスタッドを車軸に近づけてブレーキアーム自体でレバー比を変える方法ですが、テコの原理が応用されている以上、作用点であるシューがリムに抵触した時点から支点であるカンチスタッドには外に広げられる反力が発生します。 更にシューは回転しているリムと抵触する訳ですから回転方向へ引っ張られる事となり、カンチスタッドには前方に倒される力も加わっている事になります。
これらの力はシューから離れる程大きくなり、結果としてアームやフレームの材質や取り付け部の強度アップが要求される事となり、コスト最重点の当該モデルのコンセプトから大きく外れる対応策と言えます。

3つ目はリムブレーキでありながら、出荷時の振れ取りがいい加減である事です。
それでなくてもブレーキレバーの作動量が大きくなっているにもかかわらす、当該個体は8oも振れていました。
その結果、シューとリムが抵触しない程度のクリアランスを確保するとレバーがグリップに当たるほど握っても減速する程度しか効かず、効きを確保すると常にシューがリムを擦る有様で、出荷時の管理体制の杜撰さが露呈する部分です。
結局振れ取り調整で2o程度に押さえましたが、これで何とか制動装置としての真似事は果たす様になりました。

4つ目はチェーンステーの断面形状です。
当該モデルは一般的な自転車フレームとは異なり、チェーンステーが途中から分岐する形状になっています。
まずBBから楕円断面のパイプが後方へ延び、ホイール付近で長方形断面のパイプを曲げたチェーンステーと溶接で繋げられています。長方形断面のパイプだと曲げる際に曲げやすく、溶接部もBBから延びてきたパイプを単純にブツ切りするだけで済むというメリットがあります。 しかしチェーステーはブレーキの台座も兼ねており、前述のようにブレーキ掛けによる反力に対しての強度は不利な断面形状となります。
軋み音の原因はこのシートステーの強度不足によるもので、実際にブレーキレバーを握ると目で確認できる程に撓んでいます。
対策としてはブレーキブースターの装着が思い浮かびますが、このエンド幅とタイヤサイズをカバーできる物は規格では存在せず、素人では対処の方法がありません。

この様にハブ、リム、ブレーキアームに及ぶ欠点が山積するリア廻りですが、ブレーキに関する問題点はシティーサイクルのようにハブブレーキにしていれば発生していなかったものであり、デザインとコストを優先した設計である事が露呈するナメた造りになっています。
製造を支那に丸投げした為にバチ物が多からずや存在する事を以前書きましたが、中には丸パイプのみで構成された機種もあります。
このタイプの自転車をこれから手に入れようとお考えの方は、チェーステーが円形断面になっている物を選択すると軋み音とブレーキタッチだけは多少なりとも改善されているのではないかと思います。




結局ボルト類とシュー、ヌードルの交換のみしか出来なかったリアブレーキ。
クイック部は薬剤処理にて錆び取り、ブレーキアームは磨いて再使用。
ハブの洗浄とグリースアップで異音は一応解決。
振れ取り調整にて何とかブレーキとして機能する様になったものの、チェーンステーの撓みによって軋み音の件は解決せず。
但しシューをシマノ製に交換する事によって鳴きは無くなりました。




チェーンテンショナーも装着。
これでチェーン調整も楽になりました。
デザインもオートバイっぽくて気に入っています。




やはりフロントが寂しいのでライトを購入。
今度もバイザー着きの砲弾型です。反射板のメッキはボコボコですがマルチリフレクターではありません。(笑)
フロント廻りがシンプルな為、ベースは前回よりも短めに切り出し。突き出し量も押さえるために通常の取り付け部分をカットした後、アール部分をバイスで平らにして(完全に平らにはなりませんでしたが)ボール盤で取り付け穴を新設。
しかしこのアングルからだとトップブリッジとトリプルトゥリーがプレス鉄板になっているのが良く見えます。




電源は単四電池3本タイプ。
LED素子は抵抗や電解コンデンサ等と共に基盤化され、それ毎反射板に取り付けられています。
反射板の中央付近が鳥脅しのバルーンの様なデザインになっているのはこの為です。
良く見ると新品にもかかわらず裏側には既に赤錆が発生しています。この状態が進んで裏側からメッキを持ち上げ、右フォークの様になるんでしょうね。




ライトの発色は白色。
照射範囲や照度も十分で、ライトに関しては手を加える必要はないでしょう。




で、この様な姿になりました。
ライトの位置を吟味したにもかかわらず、フロントのブレーキケーブルが邪魔をしています。リルート必須です。




リルートに際してフロントのみヌードルを再び固定式に変更。
使用したのはテクトロのアルミ製で、130°タイプです。
フロントがスッキリしました。
ライトのメッキがピカピカなので右フォークの柚肌メッキが目立ちますな。(笑)



一応チョッパー型の自転車に仕上がりました。しかしこれはあくまでも駐輪中の話。
このスティングレイ20はリア廻りよりも大きな問題があります。
次回はその解析と対策についてレポします。


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解説/ BOW



2014.09/20


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